共生細菌と宿主は一体となって外圧に適応する

共生細菌は、宿主にとって有益となる作用をもたらして、日常の生命活動の維持に貢献していることが多いです。
また、宿主がウイルス攻撃などにより逆境にさらされた場合、共生細菌は最も抵抗力の高い種が繁殖することで、宿主と一体となって適応可能性を高めています。
大きな外圧変化が生じたときに、生物は進化を遂げて生き残る可能性を広げますが、遺伝子変異だけでなく、共生細菌との協働も進化の重要な要素であるといえます。
◇共生する細菌とともに進化する動物:ショウジョウバエのウイルス抵抗性と寄生細菌ボルバキアリンク
<生命科学の雑記帳>より
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ショウジョウバエに寄生する細菌ボルバキアは、体内に侵入するウイルスの増殖を阻止して、ハエを守るという善玉菌の側面を持っている。ボルバキアのウイルス抵抗性のレベルは、ハエの集団でさまざまだが、これは遺伝的変異によりもたらされている。本連載65回では、ボルバキアに感染したネッタイシマカを増やして、デングウイルスの伝播を阻止する試みを紹介した。
9月29日付けのPLos Geneticsで、ポルトガルの国際研究所Instituto Gulbenkian de CienciaのElio SucenaとLuis Teixeriaをリーダーとする研究グループは、共生するボルバキアが宿主としてのショウジョウバエにおけるウイルス抵抗性の進化に直接関わっていることを報告した。
彼らは、4つの集団のショウジョウバエに、世代毎に、ショウジョウバエCウイルス(Drosophila C virus: DCV)を胸郭に接種し、生き残ったものを選択した。DVCは、1970年代にショウジョウバエから分離されたRNAウイルスで、当初、ポリオウイルスと同じピコルナウイルス科とされたが、現在は、ピコルナウイルス目のジシストロウイルス科に分類されている。このウイルスをショウジョウバエに接種すると、多くは3−4日で死亡する。Sucenaらは、生き残ったハエにウイルスを接種するという試みを20世代にわたって繰り返すことにより、抵抗性の集団を作り出した。この抵抗性集団のゲノムを、最初の集団(祖先グループ)、対照としてのウイルスを接種しない集団と比較した結果、そのゲノムには125カ所に一塩基多型(SNIP)が見られ、そのうち111カ所はウイルス抵抗性にもっとも強く関連していた。ウイルス抵抗性はゲノムの変異から生まれたことがうかがえる。
一方、ボルバキアの染色体の遺伝子型を調べた結果、祖先のハエでは、3つのタイプのボルバキアが混在していて、対照集団も同じだったが、ウイルス抵抗性集団では、1つのタイプのボルバキアだけになっていた。宿主がウイルスに曝された結果、内部に寄生する細菌集団は宿主をもっとも保護するタイプのものに集約されていたと考えられた。宿主と内部寄生菌が一体となって、ウイルスに対する遺伝的抵抗性の宿主が進化していたのである。
これまで、ウイルスが宿主と共進化した例は1950年にオーストラリアで、ヨーロッパから持ち込まれた野ウサギ退治のために、致死的感染を起こすウサギ粘液腫ウイルスを散布して、最終的にウイルス抵抗性のウサギの進化とウイルスの毒性低下という共進化が起きたことがあった。今回は、1世代が2週間という短いショウジョウバエで、実験的に宿主と内部共生細菌がウイルスの選択圧で共進化を起こすことを初めて示したことになる。
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稲依小石丸
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