世界初の治験開始 | iPS細胞で創薬

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人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って見つけた薬の世界初の臨床試験(治験)を進める京都大病院(京都市左京区)は5日、筋肉の中に骨ができる希少難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」と闘う山本育海さん(19)=明石市=に対し、1例目の患者として治験に着手したと明らかにした。

 山本さんは2010年、自らの体細胞を京大iPS細胞研究所(所長・山中伸弥教授)に提供。病気のメカニズム解明や治療薬の開発が進められてきた。山本さんは「患者は僕だけじゃない。患者の皆さんと一緒に頑張っていきたい」と力強く語った。

 治験薬は別の難病の薬として販売されている内服薬「ラパマイシン(商品名ラパリムス)」。京大の戸口田淳也教授らの研究チームが、患者の細胞から作ったiPS細胞に約6800種の物質を加えて効果を分析した。同チームはこの薬に異常な骨の形成を抑える効果があることを突き止め、iPS細胞を使った創薬の世界初の治験に至った。

 治験には京都、東京、名古屋、九州の4大学病院が参加。6~59歳の患者計20人にそれぞれ1年間、ラパマイシンや偽薬を投与するなどして安全性と有効性を確かめる。

 山本さんは小学生の時、iPS細胞を使った再生医療や創薬の可能性を知り、「僕の難病を治す薬を開発してほしい」と皮膚の細胞を同研究所に提供。この日、京大病院で体の状態を確かめる診察を受けた後、薬を受け取り、7年間待ち望んだ治験が始まった。

 山本さんは「治験はまだまだ先だと思っていたので先生方に感謝しています」と笑顔。戸口田教授は「早ければ数年以内に実際の薬にできる可能性がある。着実に治験を進めたい」と話した。
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