吉川英治記念館 杉本苑子さん追悼展 弟子入り願う手紙も 青梅 /東京(毎日新聞・2017/9/8)

吉川英治記念館 杉本苑子さん追悼展 弟子入り願う手紙も 青梅 /東京(毎日新聞・2017/9/8)


青梅市の吉川英治記念館は、5月に亡くなった杉本苑子さんを追悼した企画展を開いている。

杉本さんは、かつて多くの読者から愛され「国民的作家」と呼ばれた吉川門下の一人。

7日の「英治忌」では通常、非公開の母屋でお茶会など和やかな雰囲気の中、ファンらが2人をしのんだ。

杉本さんは、女性の時代小説の第一人者として活躍。自らの戦争体験を踏まえ、時代に翻弄(ほんろう)される人々をテーマに、古代から近代まで幅広く取りあげ、文化勲章を受章した。

作家への道は戦後、「サンデー毎日」の懸賞に入選したのが、きっかけ。後に選者をしていた吉川英治に師事し、文学の修業を積んだ。

企画展では、杉本さんの弟子入り志願の手紙を展示。長らく行方が分からなかったが、昨年、発見された。
封筒の宛名には「西多摩郡吉野村柚木 吉川英治先生」とだけ記されており、昭和20年代後半の、のんびりとした様子もうかがえる。

弟子入りに際し、吉川英治からは10年間、懸賞への応募の禁止など厳しい条件を付けられた。

当時を知る記念館館長で長男の英明さんは「父としては、中途半端な形で、世に出したくなかったのでしょう」と振り返る。

修業の様子について「史料集めを手伝ったりして家族の一員のようでした」と懐かしむ。
昭和30年代、吉川英治の「私本太平記」の取材に同行する杉本さんの写真パネルなども展示している。

記念館は、敗戦でいったん筆を断った吉川英治が「新・平家物語」など創作活動を再開した旧邸宅。

「吉川英治の翻訳作品」などを紹介する企画展も同時開催中。

いずれも11月30日まで。

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