お母さんを探していた赤ちゃんの霊

山道

 

今から2年ほど前の話なのですが、小雨の降る初夏の夜でした。

 

私はチューンアップした車で、山にドリフトをしに行きました。

 

平日の深夜ということもあり、いつもよりは車の通りが少なく、雨の音がよく聞こえる夜でした。

 

この日は、山に着く前から少しおかしなことがありました。

ありえない光景に出くわす

山に行くわけですから、少し森のようなところを通ります。

 

当たり前のように「動物注意」の看板があり、私も実際にそこで動物を見たことがあります。

 

その日も3匹の動物を見ました。

 

イタチのようなもの、大きな鳥、そしてタヌキ。

 

しかし、なぜかその動物たちは体が白く光っていたのです。

 

もちろん街灯などは全くありません。

 

私の目の錯覚かも知れませんが、確かに白かったのです。

 

目的の場所に着き、動物のことを忘れ、私は走りに夢中になっていました。

 

時間も深夜3時を回り、気がつけば私一人だけになっていました。

 

ガソリンも少なくなったことで、私も帰ることにしました。

 

少し飛ばし気味に山を下っていく途中、急カーブを曲がった瞬間、また目の前に白い物体が現れたのです。

 

私は目を凝らしてその物体をよく見ました。

 

すると、なんとハイハイをしている赤ちゃんだったのです。

 

私は急ブレーキをかけました。

 

しかし、雨に濡れた道路、さっきまでドリフトをしていたせいでツルツルのタイヤ。

 

少しスピードは落ちましたが、そのまま赤ちゃんに「ドンッ!」とぶつかりました。

 

慌てて車から飛び降り、車のフロント部分に行きました。

 

エアロは割れ、バンパーもへこんでいました。

 

しかし、赤ちゃんの姿はどこにもありません。

 

車から懐中電灯を持ってきて、一時間近くも探しました。

 

辺りもだいぶ明るくなっていました。

 

しかし、一向に赤ちゃんは見つかりませんでした。

 

よく考えると、あんな時間にハイハイする赤ちゃんがこんな所にいるのはおかしいと思いました。

 

私は怖くなり、慌てて車に飛び乗り、急いで家まで帰りました。

 

家に着いた時には、もう朝の6時でした。

 

疲れ切った私は、すぐに寝てしまいました。

 

起きた時はもう昼過ぎで、なぜかつけた覚えのないテレビがついていました。

 

おかしいなと思いながらもテレビのニュースを見ると、昨日いた山で母親と1歳になる子供の死体が見つかったというのです。

 

私はびっくりしました。

 

テレビの続きを見ると、死後1ヶ月以上は経っていて、親子は別々の所に埋められていたそうです。

 

私はすごく怖くなりましたが、仕事があるので急いで用意をして車へ向かいました。

 

すると、昨日確かにへこんでいたバンパーも、割れたエアロも、元通りになっていました。

 

私の考えなのですが、あれは「お母さんを探していた赤ちゃんの霊」ではなかったのでしょうか。

 

そう思うと可哀相になり、私はその場で手を合わせ、ご冥福をお祈りしました。

 

(終)

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