自由闊達な萬鐵五郎に出会う(産経新聞・2017/7/13)

自由闊達な萬鐵五郎に出会う(産経新聞・2017/7/13)


本展では、これまであまり注目されることがなかった水墨画にも焦点を当てた。
萬は大正7年、神経衰弱と肺結核を患い、療養のため東京から神奈川県の茅ケ崎に転居。
「水着姿」といった代表作も誕生した地だったが、海辺の温暖な地で打ち込んだのが水墨画だった。

単純な線で軽やかに筆を運んだ「日の出」は、太陽に向き合った男の動きがユーモラスで漫画的。
「橋の上の犬」は、橋を歩く犬の姿がのんきでかわいらしい。

伸びやかでリズミカルに筆を踊らせた。
短時間で即興的に描かれ、試行錯誤して仕上げる油絵の緊張感からは開放されたような楽しさがある。

「萬の水墨画には視点の自由さがある。無邪気さやリズム感は、同時期に制作した油彩画にも見ることができる」と同美術館の長門佐季主任学芸員は話す。

41歳の若さで没した萬。創作期間はわずか20年ほどだったが、さまざまな画風を展開し、日本の洋画史に大きな足跡を残した。

出品総点数約400点という膨大な作品や資料で、萬の全容を浮かび上がらせている。        

9月3日まで、月曜休、一般1000円。
問い合わせは同美術館(電)046・875・2800。
会期中展示替えあり。

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