スターバースト心臓部で見えてきた熱い“分子の密林” – ニュース

図:欧州南天天文台VISTA望遠鏡で撮影したスターバースト銀河NGC 253と、アルマ望遠鏡による観測で得られたその中心部のスペクトル。
欧州南天天文台VISTA望遠鏡で撮影したスターバースト銀河NGC 253と、アルマ望遠鏡による観測で得られたその中心部のスペクトル。さまざまな分子が放つ電波が隙間なく並んでいることがわかる。 オリジナルサイズ(977KB)

非常に活発に星を生み出しているスターバースト銀河は、多量のガスや塵(ちり)といった星間物質に覆われており、その心臓部がどのような環境になっているかを探ることは容易ではありません。 東京大学大学院理学系研究科の安藤亮大学院生、国立天文台の中西康一郎特任准教授、東京大学大学院理学系研究科の河野孝太郎教授らの研究グループは、非常に高い空間的な分解能・感度を誇るアルマ望遠鏡を用いて、約1100万光年先にあるスターバースト銀河NGC 253を観測しました。その結果、従来は星間物質の大まかな分布しか見えていなかったスターバースト心臓部に、活発に星を生み出している星間物質の塊が8個並んでいる姿を捉えることに成功しました。またこれらの塊では、見つかる分子の種類や信号の強さが異なることが初めて明らかになりました。さらに一つの塊では暖められた多種の分子ガスからの放射(分子輝線)がスペクトルを隙間なく埋め尽くす、熱い“分子の密林”といえる特異な状態になっていることも明らかになりました。銀河系外で“分子の密林”が観測されたのは初めてです。

現在アルマ望遠鏡では、同じスターバースト銀河をより幅広い波長帯で観測するプロジェクトが始動しています。宇宙の星形成の歴史における主要なプレイヤーであるスターバースト銀河に秘められた多様な環境が、さらに詳細に解明されていくことが期待されます。

この研究成果は、Ando et al. “Diverse nuclear star-forming activities in the heart of NGC 253 resolved with 10-pc-scale ALMA images”として、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に2017年11月に掲載されました。

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