死にゆく星からの恒星風の加速、酸化アルミニウム形成が引き金 ―アルマ望遠鏡が明かすケイ酸塩に乏しい質量放出星の謎― – ニュース

アルマ望遠鏡で観測した「うみへび座W星」
アルマ望遠鏡で観測した「うみへび座W星」。星とその周囲のSiO分子が放つ電波を赤、AlO分子が放つ電波を黄色で着色。SiO分子が大きく広がっていることがわかる。Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Takigawa et al. オリジナルサイズ(124KB)

太陽のようにあまり質量が大きくない恒星は、その晩年に大量のガスや固体微粒子(ダスト)を宇宙空間へ放出します。この漸近巨星分枝星は銀河系における金属元素の主要な供給源として重要な役割を担っています。宇宙の中でケイ素はアルミニウムに比べ10倍近く豊富な元素ですが、漸近巨星分枝星の中には少ないはずの酸化アルミニウムダストが豊富で、多く含まれてしかるべきケイ酸塩ダストが少ないものが数多く観測されています。このような逆転現象が観測される理由は謎に包まれたままでした。

瀧川晶 京都大学白眉センター 特定助教、上塚貴史 東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター 特任研究員、橘省吾 北海道大学理学研究院 准教授(現東京大学大学院理学系研究科 教授)、山村一誠 JAXA/ISAS 准教授は、アルマ望遠鏡を用い漸近巨星分枝星「うみへび座W星」の周りのAlOガス分子とSiOガス分子の分布をこれまでにない高い精度で捉えることに成功しました。AlOガス分子の分布は中心星近傍のダスト分布とよく一致しており、AlOガスから酸化アルミニウムダストが過去の観測通り形成されていることがわかります。一方でSiOガス分子は5恒星半径以遠まで広がっており、ガスからケイ酸塩ダストが作られる割合が低いことも発見しました。恒星の近くで形成・成長した酸化アルミニウムダストが恒星からの光を受けて質量放出風の加速を助け、結果としてケイ酸塩ダストの形成を妨げたと考えられます。本結果は、酸化アルミニウムダストが豊富でケイ酸塩ダストに乏しい漸近巨星分枝星でのダスト形成の謎を解く鍵となる発見です。

この論文は、2017年11月2日(日本時間)に、アメリカの科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に掲載されます。

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