緯度変化を探る〜国際緯度観測事業と北緯39度8分線〜 – ギャラリー

緯度変化を探る~国際緯度観測事業と北緯39度8分線~

岩手県奥州市水沢区にある国立天文台水沢VLBI観測所は、国際緯度観測事業(ILS:International Latitude Service)の観測地として、1899年(明治32年)より120年近い歴史を持つ観測所です。北緯39度8分線上に世界6カ所(ロシア:チャルジュイ、イタリア:カルロフォルテ、アメリカ:ゲイザーズバーグ・シンシナチ・ユカイア、日本:水沢)の観測所が設けられ、地球の北極と南極の位置が地球の地面に対して運動する現象(極運動)を解明することを目的として毎夜観測を行っていました。しかし、観測を開始してまもなく日本の結果が正しくないことをドイツの中央局から指摘され、初代所長の木村榮(きむら ひさし)をはじめとする水沢局の職員は苦境に立たされます。日本の測地学委員会は、木村へ観測に使用する眼視天頂儀について16項目にも及ぶ全面点検を命じました。しかし観測機械にも観測方法にも何ら欠陥が見つかりませんでした。この結果に自信を得た木村は各観測局の結果を再検討し、すべて同様の変化があることを発見しました。その後、世界的にも有名になったZ項 (注1)の発見へと続いていきます。

北緯39度8分線と看板設置

2015年5月頃より、北緯39度8分の緯度線と説明板の制作を検討するワーキンググループを設け、同年12月に緯度線と説明板を設置することができました。現在では記念写真の撮影や、緯度観測所の解説場所として活躍しています。

木村とテニス

木村はテニスを行った後に各観測局の観測結果に対するある法則性に気付き、Z項の発見につながったという有名なエピソードが残されています。国を背負い、重圧の中で心安らぐ時間がスポーツであったこと、またその結果、世界的に有名な研究成果を導き出したことは、とても興味深いお話です。木村とテニスについては、宮澤賢治が書いた『風野又三郎 (注2)』の中に、木村榮博士がテニスをしている描写が記されています。興味のある方はぜひ一読してみてください。

文:舟山弘志(水沢VLBI観測所)

(注1)木村榮博士とZ項の詳しい情報については「Z項発見の経緯(木村榮記念館)」をご覧ください。 本文へ戻る

(注2)『風野又三郎』は、『風の又三郎』の前身となる作品です。 本文へ戻る

画像データ

撮影年2016年
撮影者飯島裕
クレジット国立天文台

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