H.006【独眼竜政宗】参

 徳川家康の後継者、秀忠を演じるのは、勝野洋であるが、勝野洋は、1983年の大河ドラマの『徳川家康』においても、徳川秀忠を演じていた。

 勝野洋の徳川秀忠役は、生真面目で、父の家康に対して忠実な、まさに、守成の名君として、安定感のある演技を見せている。

 また、宅麻伸の演じる、三代将軍の徳川家光が、最終回にのみ、登場するが、宅麻伸は、勝野洋と同様に、『徳川家康』に出演しており、家康の長男の松平信康を演じていた。

 勝野洋・宅麻伸の配役は、『徳川家康』の徳川家とリンクさせたのであろう。

 本作の豊臣秀次役は、1987年の当時、トレンディドラマで、人気俳優になりつつあった、陣内孝則である。

 陣内孝則は、大河ドラマは、本作が初出演であり、以降、1991年の『太平記』の佐々木道誉役、1997年の『毛利元就』の陶晴賢役、2014年の『軍師官兵衛』の宇喜田直家役と、乱世の梟雄のイメージが強いが、本作では、秀吉の情けない、後継者役を、見事に演じている。

 本作において、石田三成を演じるのは、当時、37歳の奥田瑛二である。

 奥田瑛二は、2015年現在まで、六作品の大河ドラマに出演しているが、本作は、1983年の『徳川家康』の松平勝隆に続く、二度目の出演である。

 ただし、松平勝隆は、かなりの端役であったため、本格的な出演は、本作が初めてと言える。

 石田三成は、豊臣秀吉と同じ時期から登場し、伊達政宗とは犬猿の仲で、何度も政宗と対立するため、ある意味では、悪役と言えるであろう。

 また、淀君の側近で、関ヶ原の戦い以降に登場する、大野治長を演じるのは、榎木孝明である。

 榎木孝明は、2015年現在まで、合計八作品の大河ドラマに出演しているが、本作が、記念すべき、初作品である。本作の後、榎木孝明は、数多の時代劇に出演するようになる。

 本作において、特筆すべき、登場人物は、寺泉憲の演じる、蒲生氏郷であろう。

 蒲生氏郷は、織田信長にその才能を認められ、娘婿になった、麒麟児と呼ばれたほどの武将である。

 しかし、2015年現在において、大河ドラマに蒲生氏郷が登場したのは、見たことがない。

 蒲生氏郷は、奥州仕置によって、会津四十二万石を与えられるが、戦国時代を描いた、数多の大河ドラマにおいては、物語の本流からは外れているため、登場することがなかったのであろう。

 本作では、秀吉が、伊達政宗から、会津を召し上げ、氏郷に与えたため、メインキャラクターとして登場する。氏郷と政宗は、秀吉政権下で、ライバルとして、火花を散らすのである。

 しかし、残念なことに、本作で、蒲生氏郷を演じたのは、寺泉憲という、無名に近い、役者であり、伊達政宗を演じる、渡辺謙や、伊達成実を演じる、三浦友和に、完全に貫禄負けしていた。

 故に、本作の蒲生氏郷は、器の小さな、小悪党の様な存在にしか、見えなかった。

 本作の終盤において、大阪冬・夏の陣が描かれるが、真田幸村を演じるのは、若林豪である。

 さすが、若林豪は圧倒的な貫禄で、真田幸村は、数話しか登場しないが、その存在感を、存分に見せつけている。残念な点は、その壮烈な死が、描かれなかった点であった。

 本作の終盤で、圧倒的な存在感を見せつけるのが、伊達政宗の娘である、いろは姫を演じる、沢口靖子と、徳川家康の六男、松平忠輝を演じる、真田広之である。

 真田広之は、2015年現在、渡辺謙と並び、ハリウッド作品にも登場する、世界的俳優であるが、本作の時点では、人気が出始めたばかりの若手アクション俳優であった。

 沢口靖子も同様で、現在では、大物女優の一人と言えるが、当時は、未だ、知名度の低い、若手女優の一人に過ぎなかった。



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