H.006【独眼竜政宗】弐

 伊達輝宗とお東の方の次男で、政宗の同母弟、伊達小次郎を演じるのは、ジャニーズの男闘呼組の岡本健一である。

 本作の小次郎は、お東の方の偏愛を受けるが、同時に、兄の政宗とも、非常に仲が良い兄弟であるため、政宗が、小次郎を殺すシーンが、非情な切なさを感じさせる。

 伊達政宗の両翼と言えば、片倉小十郎と伊達成実が有名であるが、本作では、片倉小十郎を西郷輝彦が、伊達成実を三浦友和が演じる。

 特に、三浦友和の成実は、政宗以上に武将らしい武将であり、主役の渡辺謙の伊達政宗を凌駕するような存在感を発揮していた。

 一方、政宗の軍師、片倉小十郎は、史実通りの切れ者であるが、西郷輝彦が、武骨な男らしい容姿のため、現在の「軍師」という言葉のイメージとは、若干、異なる。

 2014年の大河ドラマである、『軍師官兵衛』では、黒田官兵衛をジャニーズのV6の岡田准一、竹中半兵衛を谷原章介という、所謂、「イケメン」俳優が演じた。

 そのため、「軍師」は、武骨な武将というより、眉目秀麗な智将のイメージが強くなってしまった。

 1987年の当時は、「イケメン」という言葉はなく、カッコイイ男とは、西郷輝彦の様な、男らしい風貌の人物であったため、時代の大きな変化を感じてしまった。

 伊達政宗の幼少期、梵天丸の守役であり、片倉小十郎の父違いの姉であり、政宗の家臣の鬼庭綱元の腹違いの姉でもある、喜多を演じるのは、竹下景子である。

 喜多は、政宗が、伊達家の当主になった後は、愛姫の侍女となる。

 彼女は、物語前半は、メインキャストとして、大活躍するが、物語後半に、政宗の怒りを買い、蟄居を命じられた後は、全く、登場しなかった。

 そして、彼女が、死去したことは、ナレーションのみで語られ、完全にフェイドアウトしてしまった。

 前述した通り、伊達政宗の父、輝宗を演じたのは、北大路欣也であるが、1987年の当時から、既に圧倒的な貫禄があり、政宗の父親役に相応しかった。

 その輝宗の家臣として、いかりや長介の演じる、鬼庭左月、神山繁の演じる、遠藤基信が登場する。

 鬼庭左月は、前述した、喜多の実父であり、村田雄浩の演じる、鬼庭綱元の父でもある。

 物語後半、綱元は、豊臣秀吉が、「庭に鬼がいるのは良くない」と言って、「鬼庭」から、「茂庭」左月に名を改めている。

 伊達政宗の母、お東の方の兄、最上義光を演じるのは、原田芳雄である。

 原田芳雄は、1987年当時、47歳。

 伯父と甥の関係でありながら、政宗と対立を続け、お東の方に、政宗の暗殺と小次郎の擁立を唆すなど、本作では、ある意味、悪役として描かれている。

 本作は、戦国時代の後期の物語であるため、無論、豊臣秀吉、徳川家康が登場する。

 ただし、織田信長は、登場人物達の会話の中に名前が登場するのみで、実際には、登場しない。

 信長が、大河ドラマに登場しないのは、珍しいが、1987年当時は、現在ほど、信長の人気は高くなかったと考えられる。

 本作において、秀吉を演じるのは、勝新太郎、家康を演じるのは、津川雅彦である。

 伊達政宗が、実際に豊臣秀吉と対面するのは、小田原攻めの最中であり、秀吉の登場場面は、基本的に晩年が多い。

 そのため、登場当初は、器の大きさを政宗に見せつけるが、その後、老衰を重ねてゆくにつれて、次第に、見苦しい人物になってしまう。

 秀吉の正室、ねねを演じるのは、八千草薫、側室で、織田信長の茶々=淀君を演じるのは、樋口可南子である。

 晩年に、老衰が激しくなる、秀吉とは異なり、津川雅彦の演じる、徳川家康は、最後まで、政宗の前に大きな壁として立ちはだかり、その死まで、大人物の器量を見せる。

 津川雅彦は、2015年現在までの間に、徳川家康を五回演じているが、その初めての作品は、本作である。



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