生物と鉱物は互いの進化・変化を促進してきた

童謡「はないちもんめ」は日本全国に知られた有名な歌で、小学生などが遊びに使うことも多い。しかし、この歌に隠された都市伝説を知る人はほとんどと...

earth_36 画像はこちらからお借りしました。

生命は地球上に誕生してから今日まで、著しい進化を遂げてきました。地球を構成する鉱物もまた、今日までの間に激しく変化してきました。
学問の世界では、「生物学」と「鉱物学」は互いに異なる分野として扱われ、その関わりにはあまり注目されてきませんでしたが、これらは密接に関わり、互いの進化・変化に大きな影響を与えてきました。

実際、地上に存在する約4500種の鉱物の3分の2程度は、大酸化イベント以降に、生物の営みにより生成された酸素を多く含む水と、以前から存在する鉱物の相互作用により、新たに形成されています。

地球上の生命の起源において、鉱物は大きな役割を果たしたと考える。太古の時代、生命の素材となるアミノ酸、糖類、脂質といった分子は、炭素を持つ分子とエネルギー源のある環境ならどこでも、ある程度の量が生産されていた。その中で脂質以外の合成された有機分子はほとんど自己組織化されないが、それらは鉱物の表面に付着している。個体の鉱物には分子を選択、凝集、組織化するといった力があり、そのような力を持つ鉱物が、生命の発生に中心的な力を果たしたのではないかと考える。(本の紹介349:農業と環境No.184を参照)

地球が生まれてまだ間もないころ、酸化還元反応でエネルギーが生じていたが、そのペースはゆっくりしたものであった。誕生した生命体は、こうした酸化還元反応をより効率よくおこなうようになった。微生物はその後次第に反応のスピードを上げていく。地球誕生から20億年が経過しても、地表あるいはその近くで生命体が存在したために鉱物に何らかの影響が生じたという現象は見られなかったが、微生物は、生命が生まれていなかった場合よりも多くの酸化鉄、石灰岩、硫酸塩、リン酸塩を生み出し、こうして次の段階への準備が進んでいく。こうして起こったのが、大酸化イベントである。

25億年以上前の地球には、基本的に酸素(O2)はなかった。酸素発生型の光合成をおこなう細菌(シアノバクテリウム)の出現により、24億年前から22億年前の間に大きな変化が起こり、大気の酸素濃度は現在のレベルの1%以上にまで増えた。この不可逆的な変化により、岩石と鉱物も含む地球の地表近くの環境は大きく変わり、さらに劇的な変化に道を開いていった。

鉱物の世界は生物の世界とは別に動いていると、何百年にわたり誰もが暗黙のうちに考えていた。それに対して著者は、地上に存在する大半の鉱物は生命体が生じた結果できたものであり、「岩石圏と生物圏の共進化」という説を提唱した。地上に存在するおよそ 4500 の鉱物のうち、約3分の2は、大酸化イベント以降に酸素を多く含む水と前から存在していた鉱物の相互作用により、地殻の浅い部分で形成されたからである。

大酸化イベントの後の10億年(18億5000万年~8億5000万年前)は、目覚ましい生物の進化も見られず、地球史上退屈な時代といわれている。その理由を、以下のように説明する。大気中の酸素が1%に増加しても、それが海洋に反映するまでには長い時間を要した。その一方で、陸地では酸素により風化と酸化が進み、大量の硫黄が海へと流入。海洋は酸素と鉄が乏しく硫黄(硫化水素)が多い状態で安定し(キャンフィールドの海)、その状態が10億年続いた。しかし逆に、この10億年間は、気候や生物のフィードバック、すべてが完璧な、調和のとれたバランスを保っていた、地球史上まれな安定した時代でもあった。

しかし、8億5000万年前にいくつかの変化が始まってバランスが崩れ、気候が変わる転換点を超え、7億4000万年前には、地球は空前絶後の気候不安定な時代に突入した。新原生代(原生代の末ころ)に、氷河が赤道まで広がる全球凍結(スノーボール)がおそらく3回発生。スノーボール現象の終わりには反動で灼熱(しゃくねつ)のホットハウス状態に豹変(ひょうへん)し、両者が繰り返すサイクルが始まった。極端な暑さと寒さを繰り返す中、海岸では風化が進み、リンなどの栄養素が大量に生成し、浅海では藻類が繁殖。その結果大気中の酸素濃度は上昇した。

風化によって形成される粘土鉱物は、新原生代に大幅に増加したことが考えられる。さらに沿岸部での微生物の増殖は粘土の形成を大幅に増加させ、有機物と結合して炭素の埋設が進むことで大気中の酸素量の増加をもたらした。その結果、およそ6億5000万年前には現代に近いレベルまで酸素濃度が増加。複雑な多細胞生物が生まれ、6億年前ころには動物にとって有利な生態系に変化し、カンブリア紀の進化の大爆発へと続いた。

◇本の紹介 351: 地球進化46億年の物語 -「青い惑星」はいかにしてできたのか-<農業と環境>より転載

既存の学問体系の枠を取り払い、事実に基づいて様々な要素の関わりを捉えることで、より整合性の高い生命史・地球史を掴むことができ、これから向かうべき可能性も発掘できるのではないでしょうか。

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