H.036【真田丸】参

 本作の主人公、真田信繁を演じるのは、堺雅人。先述した通り、真田幸村は、史実に基づき、大阪城へ入るまでは、「信繁」を称している。

 堺雅人の大河ドラマ出演は、2004年の『新選組!』の山南敬助、2008年の『篤姫』の徳川家定に続く、三度目で、主演となった。

 本作は、同じく、三谷幸喜の脚本である、12年前の『新選組!』の俳優の出演が多い。

 主演の堺雅人の他、新選組副長の土方歳三役の山本耕史が、石田三成を演じ、新選組六番隊隊長の井上源三郎役の小林隆が、片桐且元を演じている。

 新選組の隊士、谷周平役の浅利陽介が、小早川秀秋を、土方歳三の義兄、佐藤彦五郎役の小日向文代が、豊臣秀吉を、近藤勇の実兄、宮川音五郎役の阿南健治が、長曾我部盛親を演じ、芹沢鴨の愛人、お梅役の鈴木京香が、北政所を演じている。三谷幸喜の指名であろうか。

 真田信繁は、主人公であるにも関わらず、大坂入城までの事跡が不明なため、本作の物語の信繁の部分の多くは、フィクションである。

 ただし、豊臣秀吉の馬廻であったことは確からしいが、実際には、本作ほどには、秀吉に近い存在ではなかったであろう。信繁は、大坂への入城までは、主体的に行動することは稀で、父の昌幸を筆頭に、周囲に振り回されることが多い。

 本作の事実上の副主人公は、信繁の父である、真田昌幸であろう。

 昌幸を演じるのは、1985年のNHK新大型時代劇、『真田太平記』において、幸村を演じた、草刈正雄。

 30年以上の時を経て、過去の登場人物の父親役を演じさせるとは、さすがは、大河ドラマである。

 草刈正雄の大河ドラマの出演歴は、1976年の『風と雲と虹と』、1994年の『花の乱』、1997年の『毛利元就』、2005年の『義経』、2008年の『篤姫』、2011年の『江』に次いで、何と、七作目である。

 主演の経験はないが、西田敏行、津川雅彦などと並び、大河ドラマへの貢献度は非常に高い。

 先程、事実上の副主人公と書いたが、三十八話で死去するまで、ある意味、主人公と言っても、過言ではないであろう。

 真田家の当主は、昌幸であり、武田家滅亡後、真田家の生き残りを賭け、そして、武田の栄光を取り戻すために、様々な策略を巡らせ続ける。

 昌幸は、本作の開始時点で、既に真田家の当主であるが、昌幸は、真田幸隆の嫡男ではなく、三男であった。

 同母兄に、信綱、昌輝がいたため、通常であれば、昌幸が、真田家の家督を継ぐ、可能性はなかった。

 そのため、昌幸は、武藤家の養子に入り、武藤喜兵衛を称していた。

 本作の序盤で、徳川家康が、昌幸に対し、三方ヶ原の戦いにおける、武藤喜兵衛の戦いぶりに言及しているが、当時、昌幸が、武藤喜兵衛であったためである。

 しかし、昌幸は、とぼけていた。父の幸隆の死後、1575年(天正三年)の織田・徳川連合軍と武田軍の戦い、あの長篠の戦いで、二人の兄、信綱と昌輝が死んだため、昌幸が、真田家に戻り、家督を継承したのである。

 真田昌幸の嫡男で、信繁の兄、信幸を演じるのは、大泉洋。

 大泉の大河ドラマ出演は、2010年の『龍馬伝』の近藤長次郎役以来、二度目である。

 信幸は、関ケ原の戦いにおいて、父の昌幸と弟の信繁とは敵味方に分れ、徳川家康に従わなければならない、最も辛い立場であるが、敢えて、その悲壮と忍従の生涯を送った、信幸役が、大泉洋であることは、当初、疑問であった。

 大泉洋は、真面目な役よりも、コメディ的なキャラを演じることが多い。

 しかし、本作の大泉洋は、コメディな演技を封印しながらも、その存在だけで、明るく、面白い、雰囲気を作り出していたため、信幸を、悲壮なだけの存在から、救ってくれたように思えた。



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