山下智久、絶好調の月9『コード・ブルー』で考える「アイドルとしての正解」

 今クールの連続ドラマにおいてトップを走る『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命- THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)。

 初回視聴率16.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2話は15.6%と、いまのドラマ界、それも低迷しているフジテレビ、それも「月9」において、この数字は快挙と言う他ない。

 人気ドラマの続編であるだけでなく、無難に数字が見込める医療モノであること、人気シリーズ『救命病棟24時』(同)に通じる救命モノであることから、そこそこの数字は見込めると思われた。さらに、過去2シーズンに比べ、これまで「CM好感度アイドル女優」だった新垣結衣が、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)のブレークによって、一気に女優としての格を上げたことも、数字を引き上げる1つの要因になっていると思う。

 しかし正直、山Pこと山下智久演じる藍沢先生が救命に戻る状況を作るためとはいえ、フェローの頼りなさを描く現場シーンが長すぎて、テンポが悪い印象はどうにも否めなかった。おまけに、山Pが脱いで胸筋を披露するシーンや、カッコよくヘリコプターまで走るシーンのアップなどは、ドラマというよりほとんどPVのようである。しかも、クールな野心家という役柄ということもあり、山Pのセリフがいつも以上にことごとく低音でモゴモゴしていて、聞き取りづらい。

 しかし、だからこそ、あらためて痛感せざるを得ないのが、山Pの“アイドル的強さ”である。

 放送中、Twitterには、ひたすらに「山Pカッコいい」の声があふれる。ほとんどもう、そればかりと言っていい。「感動した!」という声にも、セットのように「山Pカッコよかった」が、ほとんどついてくる。これって相当すごいことだと思う。

 ちなみに、これまでの山P単独主演ドラマの平均視聴率を見てみると、

・2006年『クロサギ』(TBS系)平均15.7%
・07年『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)平均17.4%
・08年『プロポーズ大作戦スペシャル』(同)18.4%
・08年『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命』(同)が平均15.9%
・09年『コード・ブルー 新春スペシャル』(同)23.1%
・09年『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』(同)平均14.4%
・10年『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命2nd season』(同)平均16.6%
・12年『最高の人生の終り方~エンディングプランナー~』(TBS系)平均11.0%
・13年『SUMMER NUDE』(同)平均12.7%
・15年『アルジャーノンに花束を』(TBS系)平均8.6%
・15年『5→9~私に恋したイケメンすぎるお坊さん~』(フジテレビ系)平均11.7%

となり、『アルジャーノン』を除くと、軒並み上々の数値を記録している。

 その間、山Pの演技そのものは、「硬」=『コード・ブルー』や『クロサギ』などの低音ボソボソ系と、「難」=『ボク、運命の人です。』(日本テレビ系、17年)『野ブタ。をプロデュース』(同、05年)『アルジャーノン』などのクセ強い系に大きく二分していて、何ら変わりはない。セリフの聞き取りにくさも変わらない。

 にもかかわらず、「山Pだったら見たい」と思う人が、常に多数いる。ドラマの視聴率が悪くとも、別に主演俳優のせいではないが、「初回視聴率が良い」ことには確実に主演俳優の人気や注目度が影響している。

 SMAP以降、アイドルにもトーク力やバラエティ能力が求められるようになり、KinKi Kids以降は、それに加えて歌唱力や演技力が求められるようになり、アイドル観はどんどん変化してきた。

 その一方で、スキルを磨けば磨くほど、小さくまとまってしまったり、世間の需要から離れてしまったりするケースも、アイドルには、ままある。その点、演技力や歌唱力、トーク力などを磨くわけでなく、ひたすらに「顔とスタイル」に特化し極めてきた山P。

 でも「顔とスタイル」、これこそがアイドルにとって最強のスキルなのかもしれない。デビュー前に抜群のビジュアルですでに人気者になり、今なお「カッコイイ」言われ続ける山P。これはこれで、楽じゃない。

 山Pの世間的需要を見るたびに、アイドルとしての正解を考えさせられるのだ。
(田幸和歌子)

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